「学力」の経済学|中室牧子 著 を読了しましたので感想をメモしていきます。
- 要旨
- 子供をご褒美で釣ってはいけないのか
- ご褒美をあげる良い条件
- 子供は褒めて育てるべきなのか
- ゲームは子どもに悪影響を及ぼすのか
- 学習時間を増やす方法
- 友人から受ける影響は?
- 教育投資の時期と投資先の能力
- 全体を通して
- こんな人にオススメ
要旨
「子どもをご褒美で釣ってはいけないのか」など、一般論的にはNGとなるようなテーマに対して経済学観点から切り込み「より費用対効果の高い教育とは何か」を分析した著書
ごく一部、個人的に気になったテーマをピックアップしていきます。(後半は教育制度や教員の話だったので、自分が興味のある子育てに直結する部分について書いております)
子供をご褒美で釣ってはいけないのか
前提としてインセンティブには種類があるそうです。
インセンティブ(動機)の分類
- 外的インセンティブ・・・ご褒美や報酬のこと
- 内的インセンティブ・・・好奇心や関心を満たされること
一般論
ご褒美という外的インセンティブを与えられることによって、内的インセンティブへの意欲がなくなる、つまり「ご褒美がないならやりたくない!」みたいになってしまう懸念があるめ『ご褒美で釣るのは良くない』というのが一般的な考え
結論
外的インセンティブ(ご褒美)によって内的インセンティブ(好奇心や関心)は失われない
うん。期待通りの結論
ご褒美をあげる良い条件
ご褒美をあげる条件にも2つの区分があり、より良いご褒美の条件についても言及されていました。
- アウトプットへのご褒美・・・例「テストで良い点を取れば」ご褒美
- インプットへのご褒美・・・例「本を●●ページ読んだら」ご褒美
結論
ご褒美の条件についてはインプットへのご褒美の方が効果的
アウトプットのご褒美は、そのアウトプットに辿り着く方法がわからないケースが多いため。
※インプットの中でも遠い将来よりも近い将来に達成できる条件の方が望ましいとのこと
子供は褒めて育てるべきなのか
一般論
「褒める→子供に自信をつける→自尊心を高める」という流れが良いとされている
結論
むやみに自尊心を高めることは学力の向上に直結していない
それよりも褒め方(子供が達成した具体的事実を褒めるということ)が重要
これは結構他の育児本とかでも共通のことが書いてあるな。自己肯定感を高めるためには具体的事実を復唱して認めてあげるのが効果的って
ゲームは子どもに悪影響を及ぼすのか
一般論
学習時間が減る
結論
テレビやゲームをやめさせても学習時間が増えるわけではない
1日1時間程度であれば発達や学習時間への負の影響なし
2時間を超えるのはNG
学習時間を増やす方法
勉強を横について見るのが効果的 → 横で見るのは必ずしも親でなくても良い。
勉強する時間を決めて守らせる → 言うだけでなくしっかりと管理することが大事
勉強するように言う → これは逆効果になるのでNG
友人から受ける影響は?
平均的な学力から受ける影響 → 平均が少し高い分にはプラスになる。つまり全体的に優秀な友人に囲まれているのが良い。
突出して優秀な友人から受ける影響 → 学力の低い子どもにはマイナス影響となる
問題児から受ける影響 → 悪影響を受ける
悪友から受ける影響は環境を変えるしかないのか
教育投資の時期と投資先の能力
早ければ早いほど良い → 幼児教育は複利がつく
最初は学力に直結するものでなく
・人的資本(しつけ、人格形成、体力、健康)への投資をした方がよい。例えば「ウソをつかない」「他人に親切にする」「ルールを守る」「勉強をする習慣」など
・非認知能力(誠実さ、忍耐強さ、社交性、好奇心の強さ)が、将来の年収、学歴や就業形態などの労働市場における成果に大きく影響する
人としての基礎能力みたいなところこそ、若いうちから身につけておくべきなのか
全体を通して
理論の前提となる記載に納得感があるものとないものがあったものの、全体として感覚ではなく「こういう根拠があるから○○で、費用対効果は△△のほうが良い」といった形で書かれており、感情や経験で書かれた育児本よりは信憑性があるような気がした。
こんな人にオススメ
「私の経験では○○なのです」といった育児本にうんざりしている方は、ぜひ一度御覧ください。
最近はKindle Paperwhiteを片手にiPhoneでメモを取りながら読書するスタイルをとっています!